案件の方向性と公開日は決まった。
でも、そこまでに何を、いつまでに終わらせればいいのか分からない。
私も初めてサイトの立ち上げを担当したとき、必要な工程をすべて理解していたわけではありませんでした。
それでも、分かる範囲から一つずつ整理しながら、公開までのスケジュールを組んでいきました。
今回は、私が事業会社でサイトの立ち上げを担当した経験をもとに、Web制作のスケジュールを組むときの考え方を紹介します。
公開日と「その日である理由」を確認する
公開日が決まっている案件では、その日をゴールとして、逆算する形でスケジュールを作成します。
その際、私は「なぜその日が公開日なのか」も確認するようにしています。
公開日がキャンペーンやサービス開始日などと紐づいていれば、簡単には動かせないかもしれません。一方で、実際の作業量や関係者の状況によっては、予定を見直せる場合もあります。
実際に私があるメディアサイトの立ち上げを担当したときも、当初は立案から1か月後に公開する案がありました。しかし、編集チームでの対応が難しいと判断し、公開予定を2か月後へ変更しました。
合意した期限に間に合うように進めることはもちろん大切です。そのうえで、「なぜこの日なのか」「絶対に動かせない期限なのか」を事前に把握しておく。そうすれば、予定どおり進めることが難しくなったときにも、期限を相談できるのか、対応する範囲を調整するのかを考えやすくなります。
公開までに必要な工程を洗い出す
公開日を確認したら、そこまでに必要な工程を洗い出します。
たとえばサイト制作なら、構成を考える、デザインを作る、実装する、内容を確認する、修正する、公開するといった工程があります。
私が初めてサイトを立ち上げたときは、既存サイトの運用経験をもとに、サイトを作るために必要そうなタスクを書き出すところから始めました。自分では分からない部分は調べたり、担当者に確認したりしながら補っていきました。
まずは、公開までに「何をする必要があるのか」を一通り出していきます。
「作る」だけでなく「確認する」工程も入れる
工程を洗い出すときに忘れたくないのが、確認や承認にかかる時間です。
Webディレクターによる成果物のチェック、上司や役員への中間チェック、最終チェックなど、作ったものを確認するのにも時間がかかります。
あるサイトを立ち上げた際には、期限内に上司の最終チェックが終わったら公開できる状態まで仕上げていても、確認や承認に時間がかかり、公開が半月ほど遅れたケースもありました。
すべてのタスクが終わる日と、サイトを公開できる日は同じではありません。
必要な工程を洗い出すときは、「誰が何を作るか」だけでなく、「誰の確認が必要か」「どのタイミングで確認してもらうか」までスケジュールに含めておくと、公開日にずれが生じにくくなります。
公開日から逆算して、マイルストーンを置く
必要な工程が見えてきたら、公開日から逆算して途中の節目を置いていきます。
私がサイトを立ち上げたときは、デザインの確定、公開前の最終確認、本番環境への移行などに、「ここまでには終わらせたい」という期限を設定していました。こうした、プロジェクトを進めるうえでの重要な節目をマイルストーンと呼びます。
考えるときは、公開日からひとつずつ戻っていきます。
公開するには、その前に何が終わっている必要があるか。
最終確認をするには、何ができている必要があるか。
その作業を始めるには、誰から何を受け取っておく必要があるか。
このようにたどっていくと、単に作業名と日付を並べるだけではなく、工程同士のつながりも見えてきます。
たとえば、上司に確認してもらう日を決めても、その時点で確認できるものが完成していなければ意味がありません。
他の人から情報を受け取らないと進められない作業なら、「自分が作業を始める日」だけでなく、「情報をもらう期限」も必要です。
つまり、次の工程に進むために、何がそろっている必要があるのかまで考えて期限を置いていきます。
この段階で置く期限は、まだ仮のものです。全体の道筋が見えたら、実際にそのスケジュールで動けるのかを担当者と確認していきます。
担当者とすり合わせて、実行できる予定にする
作業期間は、担当者と調整する
全体のスケジュールが見えてきたら、各担当者と作業期間をすり合わせます。
私は、自分で仮置きした期限をもとに、「この期間で対応できそうか」を担当者に確認していました。難しい場合は、どれくらいの期間が必要なのかを聞き、期限や対応範囲を調整します。
ディレクターには、公開までにどんな工程が必要なのかという全体像が見えています。一方で、その作業に実際どれくらい時間がかかるのか、どこが難しいのかは、デザイナーやエンジニアなど、実際に手を動かす担当者の方が分かっていることもあります。
そのため、ディレクターだけで作業期間を決めるのではなく、担当者の見立ても踏まえてお互いに合意できるスケジュールに調整していきます。
他案件との優先順位も確認する
プロジェクトに参加する担当者が、その案件だけを担当しているとは限りません。担当者によっては、他案件と並行して進めていることも多くあります。そのため、スケジュール上は作業期間を確保していても、別の案件の影響で予定したタイミングで着手できないこともあります。
私の場合、デザイナーの作業が複数案件にまたがるときは、必要に応じて他のプロジェクトの責任者と話し、優先順位を調整するなどの交通整理を行っていました。
各案件の事情をすべて把握しているわけではないデザイナーに、「どちらを先にやるか」という判断まで任せるのは負担が大きいと考えたからです。
スケジュールに担当者の名前を入れるだけではなく、その人がいつ動けるのかまで確認し、必要であれば事前に調整する。
実際に動ける時期まで考えておくことで、予定と実際の進み方のずれを減らしやすくなります。
自分でコントロールできないものほど、早めに動かす
私がプロジェクトを進める上で、常に意識していることがあります。それは、他の人に依頼したり、判断してもらったりするものを先に動かすことです。
自分だけで完結する作業であれば、ある程度は時間の使い方を調整できます。でも、相手の予定や判断のタイミングは、自分だけでは決められません。そのため私は、デザインの依頼や上司の確認など、他の人が関わるものほど早めに動かすようにしていました。
また、工程が予定どおり進まないこともあります。私は、担当者と合意した期限とは別に、遅れが出た場合にどこまでなら調整できるかを、自分の中で把握するようにしていました。
すべての工程に一律で長い余裕を持たせるというより、公開日を守るために、どこに調整の余地があるのかを把握しておくイメージです。
他の人が関わる工程を早めに動かしておくと、何か問題が起きたときにも、次の手を考える時間を取りやすくなります。
スケジュールは、一度作ったら終わりではない
ここまで、スケジュールの作り方について紹介してきましたが、どれだけ考えて緻密なスケジュールを作っても、最初に決めたとおりに進むとは限りません。実際には、途中で予定どおりに進まなくなることも多々あります。
スケジュールを作ったあとは、予定どおりに進んでいるかだけでなく、
「今どこで止まっているのか」
「誰の作業や判断を待っているのか」
「この遅れは公開日に影響するのか」
を確認し、影響がありそうなら、関係者と相談して予定を見直す。
最初に作ったスケジュールを守ること自体が目的ではありません。公開というゴールに向けて、今の状況に合わせて計画を調整し続けることも、ディレクターの役割だと考えています。
最初からすべてを正確に見通すのは難しくても、公開日から一つずつ逆算していけば、「今何をする必要があるのか」が見えやすくなるはずです。
スケジュールを組む前の、案件の目的や方向性を整理する進め方は、以下の記事で紹介しています。まだ案件の目的や方向性が曖昧な場合は、こちらも参考してみてください。


