Webディレクターは、ワイヤーフレームや指示書を作成してデザイナーに依頼することが日常的にあります。
そしてデザイナーは、もらった資料をもとに実際のデザインに落とし込みます。
そこで度々生じるのが、指示書に書いた内容と実際に出来上がったデザインの内容が、なぜか少しずれている、噛み合っていないという現象です。時には、複数のデザイナーに同じ指示書を渡しても、全く違うものが出てくることもあります。
入れたい要素はすべて指示書に入っていて、丁寧に見やすく作ったつもりなのに、なぜかうまく伝わらない——そう感じたことはありませんか?
この記事では、私が実践して学んだ、デザイナー別に指示書を使い分けて工数を少なくデザインを完成させる方法をお伝えします。
デザイナーには大きく2つの「タイプ」がある
指示書には、デザインの用途・目的・ターゲットといった前提情報と、デザインに含める要素などの必要情報を入れるようにしていますが、それでも意図通りにならないことがあります。
原因は、デザイナーによって「動きやすい指示の粒度」が違うからだと、私は考えています。
まずは、それぞれのタイプの特徴を紹介します。
受け身型
このタイプは、細部まできっちりと指示してもらった方が動きやすいと感じる人です。
初回のやり取りで「これで進めていいですか」という確認が多いのが特徴で、デザインのベースとなる情報よりも、実際にどう落とし込むかの細かい部分を重要視する傾向にあります。
提案型
このタイプは、自分からデザインをどんどん提案していくことが好きなタイプです。
最初から頭の中でなんとなく描いている構図があったり、最新のデザインを試してみたかったりと、新しいことに挑戦することに意欲がある人がこのタイプに当てはまります。 こういった人は、常にデザインのアイデアをストックしていたり、新しい知識を取り入れようと色んなデザインを見に行ったりしています。
タイプ別:指示の出し方
受け身型デザイナーへの指示出し
受け身型デザイナーには、指示書に細かく情報を記載することをおすすめします。
ざっくりとしたワイヤーフレームや、この要素を入れたい、などと箇条書きにして渡しても、初動までに時間がかかったり、「もう少し詳細に指示してほしい」と追加のやり取りが発生したりします。
実際、以前に「こんなことをやりたい」というざっくりした内容だけをまとめたラフ案を渡したところ、「これでは着手できない、もっと細かく指示がほしい」と突き返されたことがありました。
それ以来、このタイプのデザイナーには、「ここにこのテキスト」「ここにこういうイラスト」など全体の配置や内容を細かく指定した指示書を作成するようにしています。
そうすると、一発でイメージ通りに仕上げてくれることが増え、その後は軽微な調整をするだけで済むようになりました。全体にかかる工数も削減でき、お互いにとって仕事がしやすくなった感触がありました。
提案型デザイナーへの指示出し
提案型のデザイナーには、ベースの情報をしっかり共有した上で、少し余白のある指示書を出すことを意識しています。
余白があるというのは、デザインを提案する余白がある、ということです。ですが、あまりに余白があると、まったく想定外のデザインが出てくることもあるので、そのあたりの塩梅が難しいところです。
私の場合、大体の施策のターゲットが40~50代だったのですが、指示書にはきちんとその情報を入れていたにもかかわらず、提案型のデザイナーに依頼した時の成果物が今どきのデザインすぎて、ターゲットに合わないという理由で修正を依頼したことがありました。後から振り返ると、前提情報として書いてはいても、デザインの自由度を優先したいタイプの人には、これらの優先度が下がってしまうことがあるのだと思います。
それ以来、単に前提条件を書くだけでなく、「ここだけは外せない」というマスト条件は明確に分かるように強調したり、Pinterestでイメージに近い画像をいくつか集めて一緒に渡すようにしています。文章で伝えるより、視覚的な基準を渡した方が、自由な発想とのバランスを取りやすいと感じています。
逆に、細部までがちがちに固めた指示書を渡してしまうと、「自由度が低く、デザインのしがいがない」とモチベーションの低下につながったり、指示書とは別に「こういうデザインではどうですか?」と予想外の提案が返ってくることがあります。
それぞれのタイプの見極め方
「このデザイナーはどちらのタイプなのか」と仕事をする前から判断することは難しいです。
そのため、まずは1回、自分の中の「王道パターン」の指示書(=目的・ターゲット・入れたい要素は明記しつつ、レイアウトや細かい表現までは指定しない、五分五分の粒度の指示書)を渡してみて反応を見てみることをおすすめします。
この「粒度の好み」は、仕上げ方の好みにも表れることが多いです。
私の経験では、1回のデザインで完璧に仕上げたいタイプは受け身型に、ラフを早めに出してブラッシュアップしていく方法を好むタイプは提案型に、それぞれ寄りやすい印象があります。やり取りを重ねているうちに、どちらに近いか傾向が見えてくるはずです。
まとめ
今回はデザイナーのタイプを大きく2つに分類しましたが、もちろん、すべてがこれに当てはまるわけではありません。
ですが、すべてにおいて大事なのは「指示書の完成度」ではなく「相手に合わせる視点」です。
Webディレクションにおいて、「自分のやり方はこうだ」と決め切って行動してしまうと、そのやり方に合う人と合わない人が出てきてしまいます。人と人の間に入ってプロジェクトを円滑に進める役割だからこそ、忘れないようにしたいポイントです。
もし、デザイナーとのやり取りで「なんだか上手くいかない」と悩んでいる人がいたら、まずはいままでの傾向からどちらのタイプに当てはまるかを振り返って考え、次に指示書を作成する際、解説したポイントを意識して作ってみてください。それだけで、次にどう進めていくのが良いのか、解決のヒントがきっと見えてくると思います。

