曖昧な依頼、何から整理すればいい?
ある日、上司から「新しいサービスサイトを作りたい」とだけ言われたとします。
そんなとき、みなさんはどう動きますか。
私は事業会社でWebディレクターをしていますが、実務のなかでは、こうした曖昧な状態から依頼が始まることが珍しくありません。最初から目的やターゲット、KPIまで整理された資料が用意されていることは、むしろ少ないと感じています。
この記事では、新規サービスサイトの立ち上げを例に、私が曖昧な依頼を受けたときに、どのように要件を整理しているかを紹介します。
こんな人におすすめ
- 上司や役員から曖昧な指示を受けて、何を確認すればいいか迷う方
- 未経験のWebディレクター、または経験の浅いWebディレクター
- 要件が固まっていない状態から、どう整理して方針を決めればいいか知りたい方
要件を整理して動き出すための4ステップ
ここからは、私が要件整理をするときの4ステップを紹介します。
頭の中にある情報をできる限り引き出す
曖昧な依頼を受けたとき、私はまず、指示を出した人から情報をできる限り引き出すようにしています。
一言だけの依頼に見えても、その人の頭の中には「こういう人に届けたい」「こういう内容を入れたい」「この日までに公開したい」など、まだ言葉になっていない前提やイメージが残っていることがあるからです。
私が最初に確認するのは、たとえば次のような内容です。
- すでに決まっていること(公開日など)
- 実施する目的や背景
- ターゲット
- 入れたい要素
- KPI・KGIなどの目標
- その他に考えていることや要望
新しいサービスサイトの立ち上げを任されたときも、最初からすべてが決まっていたわけではありません。ゴールは「会社の売上増加」という言葉だけで、具体的な数字までは詰め切れていない状態でした。そこで、目的やターゲット、サイトに来た人にどんな行動を取ってほしいのかなどをひとつずつ確認していきました。
私が最初の段階でここまで確認するようになったのは、過去に最初の指示だけをもとに進めた結果、後から「そういうつもりじゃなかった」「ここはこうしたかった」と話がひっくり返り、手戻りになった経験があるからです。
それ以来、最初の段階でできる限り相手の頭の中にある情報を引き出し、何が決まっていて、何が決まっていないのかを整理してから次に進むようにしています。
この新規サービスサイト立ち上げ全体の流れについては、こちらの記事でも紹介しています。

足りない部分を、自分なりに設計する
ヒアリングをすると、「決まっていること」と同時に「まだ決まっていないこと」も見えてきます。
ここで、決まっていないことをすべて相手に聞き返していても、なかなか前に進みません。実際には「そこも含めて考えてほしい」と任されることも多いので、私は足りない部分を自分なりに補いながら設計するようにしています。
新しいサービスサイトを立ち上げたときも、ヒアリングで見えてきた未確定の部分について、どんなKPI・KGIが考えられるか、サイトにはどんな情報が必要かなどを自分なりに整理しました。
そのうえで、競合サイトや参考になりそうなサービスサイトも調べながら、どんな情報が必要か、どんな見せ方にすると伝わりやすいかを考えていきます。
ここで意識しているのは、自分の考えだけで設計しないことです。
最初にヒアリングした依頼者の意図や目的を軸にして、「その目的を実現するために、何が足りないか」という視点で補っていくようにしています。
もちろん、最初から正解が分かっているわけではありません。ですが、分からない部分をそのままにせず、自分なりに仮説を置いて形にしてみることで、次のすり合わせに進みやすくなります。
たたき台を作って、すり合わせる
次は内容を一度たたき台として形にします。
新しいサービスサイトを立ち上げたときは、目的やターゲット、ゴール、想定されるKPI、入れたいコンテンツなどをスライドにまとめました。自分で考えて補った部分についても、なぜそう考えたのかが分かるようにしておきます。
どれだけ考えても、依頼者の頭の中にあるイメージと完全に一致しているとは限りません。そこで、「私はこう理解しました」「決まっていなかった部分はこう考えました」という形で一度見せ、方向性にズレがないかを確認します。
修正が入ること自体は問題ありません。制作が進んでから大きな修正が発生するよりも、たたき台の段階で念入りにすり合わせておいた方が、後の手戻りを減らしやすくなります。
方針が決まったら、次の工程へ進む
目的やターゲット、ゴール、大まかな方向性について認識がそろったら、次は必要なタスクを洗い出し、担当者やスケジュールを決めていく工程に進みます。
このときの打ち合わせで決まったことは、メールやSlackなど、相手にも見える形で残すようにしています。後から前提が変わりそうになったときにも、その記録を振り返りながら再度協議しやすくなるからです。
ここまで整理できれば、曖昧だった依頼も「次に何をするか」が見える状態になります。
この先は、決まった方針をどう計画に落とし込むかという次のステップです。
まとめ
曖昧な指示を受けたとき、最初からすべての答えが見えている必要はありません。
私は、まず相手の頭の中にある情報をできる限り引き出し、足りない部分を自分なりに補い、たたき台にしてすり合わせる、という順番で進めています。
大切なのは、分からないことをそのままにせず、ひとつずつ整理して「次に進める状態」をつくることです。
私自身も、最初からこの進め方ができていたわけではありません。手戻りや認識のズレを経験しながら、少しずつ今のやり方にたどり着きました。
曖昧な指示に戸惑っている方も、まずは「何が決まっていて、何が決まっていないのか」を整理するところから始めてみてください。最初から正解が分からなくても、実務は少しずつ前に進められます。

